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モレスキンと出た旅の話。 4日目(最終回)

 

 

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今日は山形に向かう。

この一人旅で最も思い出に残っている場所で、

最も大事な何かを気付かせてくれた場所だった。

縁とはなにか。

僕はそれを目の当たりにする。

 

 

ほとんど寝れずに迎えた出発時間に、

秋田の朝は僕と違ってさんさんとしていた。

 

マッサージチェアのおかげで全身ばきばきになった僕は、

秋田駅までの3kmを誰に愚痴るわけでもないけれど、

ぶつくさ文句を垂れながら歩いた。

 

そういえば駅前のコンビニに寄った時に

友人から過去にもらった味道楽が並べられていて驚いた。

 

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味道楽はだし醬油のようなもので、

これで食べる冷奴は絶品だ。

 

そういえばアーティスティックな秋田駅構内を見せていなかったね。

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僕はこれから山形出身の友人の勧めでラーメンを食べに行く。

鳥モツラーメンで有名な「末広ラーメン」という場所だ。

秋田から2時間ほど電車に乗って一杯のラーメンを食べる。

なんだかすごく贅沢な気がした。

 

電車に乗っている間はほぼ眠っていた。

なんなら電車のシートのほうが寝心地が良かった。

 

気が付けば最初の目的地の新庄駅に到着。

すごく広い。ただただ広い。

これだけ広いと空を飛べないのがもったいないと思うほど。

そんなことを考えていると例のラーメン屋さんに着いた。

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ここまで炎天下のアスファルトの上を来たので、

額には汗がにじんでいたが、それでラーメンを食べないわけにはいかない。

暖簾をくぐると、お昼時だったからか地元の方たちでにぎわっていた。

家族連れや、休憩時間やらで来た方など。僕は相席になるほど店内は大盛況だ。

期待が膨らむなかやってきたラーメンはこちら。

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あっさりとしたスープに、しっかり味の主張する鳥モツが絶妙。

最近は味の濃いラーメンが流行ったりしているが、

たまにこういうラーメンも悪くない。

スープまで飲み干してしまうほどおいしかった。

 

食べ終わったら駅に向かう。

18きっぷで巡る旅は存外忙しいのだ。

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行くときには気が付かなかったTシャツ屋。

どこかで見たような柄ばかり……。

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新庄駅から大石田駅まで向かう。

そこにはかの「千と千尋の神隠し」のような世界が広がる

銀山温泉というところがある。

 

ジブリの中だと千と千尋の神隠しが一番好きだなあ。

 

大石田駅に着き、銀山温泉行のバスに乗り込む。

いかにも観光客用です、とでもいいたそうなバスで、

歩道を歩くおばあさんたちは目で追っていたりした。

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道中はなんだか畑が多かったような気がする。

 

 

30分くらいで銀山温泉についた。

平日というのもあってか、中国人観光客が多いのが目立つ。

世界的にも有名なのかもしれない。

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たしかにここはジブリのような世界だった。

山の中にポツンとある集落は、まるで明治から時間が止まってしまっているよう。

東京だとどこを見てもアルファベットやらが並んでいるが、

ここにはどこにも見当たらない。

閉鎖的で排他的なそこは古き良き日本のはずなのに外国的な情緒があった。

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せっかくなので温泉に入った。

僕一人(だと思う)なので熱い温泉につかりながらandropを歌った。

汗を流した後は土産屋みたいな場所でジュースを買い、

日陰のベンチで乾いたのどを潤した。

 

今度は雪が降る季節に来よう。

 

気が付けばバスの時間が近づいてきた。

来た道を戻り大石田駅に帰ってくる。

どうやら電車までしばらく時間があるみたいだ。

 

幸い駅の待合室はエアコンが効いていたので、

そこでモレスキンを拡げたり、カメラの写真フォルダーを眺めたりした。

 

僕は今から今晩お世話になるゲストハウスへと向かう。

昨年何かと話題になった民泊だ。

僕は今回Airbnbというアプリを使って初めて民泊をしてみた。

理由としては第一に安いから。というものだが、

なによりゲストハウスの経験をしてみたいというのもあった。

 

ここからは駅名までは伏せさせてもらうが、

農家のお宅にお邪魔した。

僕が泊まる日にもフランス人のカップルが利用しているようだった。

コミュニケーションをとっていきたいところだが、あいにく時間がない。

 

そこのゲストハウスはとてもフレンドリーで、

到着するや否やカットスイカやら、さくらんぼジャムののったパンケーキなど

さまざまなおもてなしを受けた。話を聞くとこの辺りはスイカ畑が多いらしい。

さらにはご厚意で自転車まで貸していただいた。

 

駅から距離があったのでありがたかった。

僕はこの自転車で駅まで向かった後、山形駅まで行き

そこで「花笠祭り」を見に行く。

 

駅に着くと法被(ハッピ)を着た男女が多く見受けられた。

それぞれのグループで趣向を凝らしたハッピで花笠音頭を踊るんだろう。

会場までグループの列ができていたので、

法被のカラフルな道しるべに沿って行くと、商店街のような場所に着いた。

思ったよりも出店も観光客も少なかったので、さらっと一周できてしまった。

 

玉こんにゃくや焼き鳥をつまみながら花笠音頭を眺めていたが、

どの団体も衣装が違っていて面白い。

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しばらく見た後、観光客も増えてきて、

歩道が随分ごった返してきたので

僕はゲストハウスのホストに教えてもらったバーに入った。

そこでジンライムを飲みながらiPhoneに撮った写真を眺めていた。

 

正直、花笠音頭を見るのにも飽きた僕は

この付近の散策をすることにした。

 

すると屋台街のような場所をたまたま見つけた。

そこに入ると、様々な屋台というか露店というかお店が並んでいる。

海鮮や肉料理、ラーメンや洋食など。いろいろな種類があって楽しかった。

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その中でも僕は一番出入り口から近い場所を選んだ。

結果から言うとここを選んで正解だった。

僕がこの旅で得た本当のものはこんな思いもよらぬところに落ちていた。

 

僕はとりあえずおなかが空いていたので山形の名産を食べてみる。

どんどん焼き、ダシのっけ冷奴、牡蠣。

いままでコンビニのごはんや露店の軽食ばかり食べていたので、

久々にお皿に乗ったごはんに舌鼓を打つ。

 

ここの居酒屋じみた店は店主とアルバイトらしき女の子で営業していた。

そして女の子の着ている浴衣の胸元にはネームプレートがあり、

名前と出身地が書いてあった。

その中に一人、僕の地元の静岡と書いている子がいた。

山形に来てアルバイト頑張っているんだなあ。と冷奴をつまみながら思う。

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すると、急に団体客が入ってきてぼくは席を移動した。

席は変形するらしく、僕はカウンターからテーブルに移り相席になった。

そこにはすでに出来上がっているおっさんと、隣には中年の夫婦がいた。

おっさんは僕に人生について説いてくれた。半分以上何言ってるかわからなかったけれど。

途中アルバイトの女の子がおっさんを止めたりしてくれたおかげで、

僕はすっかり冷えたどんどん焼きを食べることができた。

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僕に話飽きたのかおっさんは隣のカウンターに座る旦那さんに話しかけた。

僕はそれを牡蠣を食べながら聞いていると、娘がここで働いているらしく、

その様子を見に来たようだ。素敵だなあ、なんて思っていると

 

静岡から来たという。僕と同じだ。

いやあ、まさか山形で静岡出身の方と会うとは思わなかった。

静岡のどこか聞いてみると隣の市だと言う。

世間は狭いなあと僕と夫婦で笑った。

 

ちなみにおっさんは地元の方らしい。

 

僕は居酒屋を後にして、時間にまだ余りがあるが駅に向かうことにした。

ゲストハウスに早めに帰ってゆっくりするのも悪くないなとも思ったからだ。

花笠祭りは思ったよりも規模が小さかったのですぐに見れてしまったというのも理由のひとつだ。

ただおなかはすくので焼きそばを買う。さっきからすごい量食べている気がする。

 

帰りにツムツムのダシがあってついかわいくて撮ってしまった。

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駅に着く。

エスカレーターを上ると、ギターと歌声が聞こえた。

ああ、路上ライブしているのか、それじゃあそれを聞きながら食べようかな。

僕はその弾き語りをしている彼と、山形駅前のビル群を眺めながら焼きそばを一人ですすった。

 

食べ終わって何気なくとしか聞いていなかった彼の歌声もちゃんと聞くことにした。

是非、彼の歌声を聴いてほしい。

itun.es

 

僕はしばらく聴き入ってしまっていた。

すると僕の隣に老夫婦がやってきて、彼はうまいねえ、

とお父さんは僕に話しかけてくれた。

そこからお父さんとおしゃべりしていたのだが、

どうやら僕の東京で一人暮らししているところの隣の出身らしい。

まさか東京でのご近所さんが山形で会うとは思わなかったですね、と

僕らは笑った。

 

弾き語りの彼は僕たちにリクエストを求めた。

僕はバラードをお願いした。すると彼はback numberの花束を歌ってくれた。

お父さんはわかんなかったかもしれないけれど、

彼の歌声はどこまでも透き通っていて心を直接揺さぶってくる。

 

はじめて路上ライブで涙を流したかもしれない。

気が付いたら目からあふれ出るそれは頬を伝っていた。

誰にも気づかれないように拭いたけれど、止まらなかった。

多分お父さんには見られたと思う。

 

それからも彼は何曲か歌ってくれた。

その度にお父さんは拍手をして、うまいうまい! と褒めた。

僕もはじめてそう思った。

 

彼は話を聞くとバイク1つで全国を回って、

全国を1日1県のペースで回って、山形でたまたま僕と会った。

自分のCDの売り上げだけで生活をしているらしい。

CDを買いたかったが、あいにく現金は露店で使ってしまい、ICカードしかなかったので

近くのコンビニで少ないながら差し入れを買うことしかできなかった。

 

山根将太郎。彼はそういった。

電車の時間が迫っていたために、それ以上聞いていられないのが残念だったが、

ゲストハウスに着いたときに僕はカメラを起動させてしばらく彼の歌声を聴いていた。

 

東京で待ってる。

もしこれを読んでいるのなら急ぎでなくていいので、

東京に来て日本を周った時の出来事を教えてほしい。

 

山形の夜は夏とは思えないほどに涼しく、熱いシャワーが心地よかった。

バスルームから上がると、さっきまで夜風に当たっていた

フランス人の女性は消えていて、そこには真っ暗な夜があった。

 

中に入って僕は布団に転がって、今までの軌跡をモレスキンと辿る。

かなりプランとしては濃密だったし、一つのミスさえ許されないようなものだった。

乗換のミスや、予期せぬトラブルなど。様々なことが起こった。

ぼくはその度に不安になったし、焦燥に駆られた。

 

だけれどそれ以上に僕がいる周りには優しい人たちばかりで、

孤独とばかり思っていた僕は、なんだか救われた気がしていた。

 

そして、なんとなくで始まったこの旅だったけれど、

人はどこかしらでつながっているということを再確認した。

美術館の前で、新幹線の車内で、ねぶた祭りで、ホテルの中で、居酒屋で、

そして山形駅の駅前で。

 

どこにも人がいるのは当たり前なのだけれど、

その人たちは自分と実は近かったりする。

全くの他人な気がしない。きっとどこかですれ違ったことがあったのかもしれない。

そんな風にさえ思えるのだ。

 

僕はうまく言えないのだけれど、

きっとこういうのが”縁”なんだと思う。

 

その時に会った人はたまたま会ったんじゃなくて

会うべくして会った。そう思った。

 

僕が気づけたのはたったそれだけだった。

 

この長いようで短かった旅はこれでおしまい。

気が付いたら日焼けで真っ黒になってた肌も、相変わらず変なにおいのするジーンズも、

今となってはすっかり元通りだけれど、

このモレスキンを開くたびにありありとあの時の情景が広がる。

 

僕にとってたった一冊のモレスキン

大切ななにかを気付かせてくれる一冊になった。

 

またなにか忘れかけているときはこのモレスキンを開いてみようと思う。

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